若桑みどり先生2015年01月13日 18:38

「聖母像の到来」(青土社)が出たので買ったら、あいかわらず分厚く、若桑先生、お元気ですね(笑)。
大学時代の恩師のひとりである。今年もう80におなりですか、紫綬褒章ももらっている、中世西洋画とジェンダー研究の第一人者である。
私の「カラヴァッジオ好き」(ヘンな兄ちゃんだけど!)は、彼女から来ている。
在学中に
「ちょっとシスティナ礼拝堂の『ふんどし』はずしに行ってくるわ!」
と行ってイタリアに渡ったのだけれど、これが数年にわたる大修復。で、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた総壁画「天地創造」、これ、時のローマ法王の逆鱗に触れ、
「オールヌードでイカガワシくてイカン!」
というので、彼の死後、弟子のダニエレ・ダ・ヴォルテッラが、全員にうす水色の「ふんどし」を描いた(よって彼は後生「世界一のふんどし画家」という不名誉な名前で呼ばれたのだが)、それを、
「修復と一緒にはずそうじゃないの。」
ということになり、現在バチカン行くとスッポンポン姿が見られます。
長年のロウソクや香の煤もきれいにしちゃったんで、実物観たときは、なんだかやたらツルツルピカピカしていたな。
日本の寺みたいに、古い物は古くていいと思うのよ。
若桑先生はイキのいい人で、ある朝目を覚ましたら窓の外を通る山手線が「アルミボディー」になっていたので
「あれは美的ではありません!」
とJRに抗議の電話をかけた、という武勇伝が残っている。
基本的に「機械=シルバー」というのが嫌いで、インデストリアル・デザインで「なんでみんな銀色にせにゃならんのか!」というようなことを熱く語っておられた。
「女性画家列伝」(岩波新書・絶版だけどたぶん図書館にあります)なぞ、読みやすくて面白くて、お勧めです。


このエッセイは「UFO文學14年度冬季号」に掲載しますので、引用・盗作を固く禁じます。
発覚した場合は提訴します。

ゆうきまさみ先生とドッコイ氏2015年01月14日 01:40

ドッコイ氏がなんだか懐かしいアニメを観ている。
あ、「パトレイバー」だ。
しばらくして「これ、『究極超人あ~る』の人~!?」と。
漫研では常識だったが、彼には意外だったらしい。
「ゆうきさんはね、テクゆえに『究極超人ゆうきまさみ』と言われていたのよ」と、最新刊「でぃす×こみ・1」を手渡す妻、漫研出身(笑)。
ちなみにドッコイ氏は「そうか、パトレイバーがアニメ化されていたとき、僕らはイラクにいたんだな!」と
「僕らは」
と言う。
決して「俺らは」と言わない。
「その純粋無垢な真珠っぽさがイイんじゃーッ!」
と頭を抱えて撫でくると
「わ、私は『ゆがんだ真珠』(バロック)ですよ!」
と、また、若尾文子みたいな可愛いことを…
かくして、こと漫画に関しては、ウブでおぼこでネンネなドッコイ氏は、万年私を飽きさせないのである。まったく、困ったもんだわい。
うふふ…


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大学の「学食」という存在2015年01月15日 07:36

産経新聞1月14日記事
「大テーブルに相席が基本だった大学の学生食堂で「ぼっち席」と呼ばれる1人用の席が広がっている。テーブルの上に仕切りを設けて、対面する人の顔を見えなくした。1人で食事をするのが好きな学生が増えたというより、1人で食事をしているのを見られたくないという心理に配慮したようだ。(村島有紀)

■仕切りで遮断

「『ぼっち席』がなかったときは、一人で食べるのがいやで、おにぎりを買って次に授業のある教室で食べたりしていた。こういう席があるほうが1人でも使いやすい」

大東文化大の東松山キャンパス(埼玉県東松山市)にある学生食堂。バレーボールサークルに所属する2年生の男子学生(19)は、こう話す。

ぼっち席は、6人テーブルの中心に高さ約50センチの半透明のプラスチック板が設置された席のこと。対面の人の顔は見えず、カウンターに座っているような状態になる。

「ぼっち」は「ひとりぼっち」の意味で、主に友人や恋人のいない状態を指す。全375席のうち72席が、こういった「ぼっち席」だ。

同大によると、設置したのは平成24年から。学生の保護者が所属する父母会から「学食のテーブルが部活やサークルの集団に占領されている。個人利用の席を確保してほしい」という要望を受けてのことだ。

その後、運営する大学生協の回転率を上げようという経営戦略もあり、今年度から「スピード席」と命名。キャンパス内にある3つの主な学生食堂の中で、最も回転率が良くなった。

■「1人」は寂しい

学生食堂は学校内の友人関係が見えるため、1人で食事をするのを負担に感じる学生は少なくない。特に学生生活に慣れない1、2年生の場合は、友人がいないことが原因で不登校気味になることも。また、1人で食べるのを見られたくないとトイレの個室で昼食を食べる「便所めし」が話題になることもある。

学食で、1人で食べることについてどう思うかと問うと、「私は絶対しない」(1年女子)「つまらないから音楽を聴きながら、素早く食べて教室で予習をする」(2年女子)「寂しそうに思われるから端に座る」(2年男子)など。「気にしない」(同)と答えたのは7人中1人だった。

同大によると、高校までの集団生活から、大学入学後に個人で行動する生活に慣れず、「昼休みに1人で食べるのは寂しい」と相談室を訪れる学生もいる。本当に、人の目が気になる学生は昼食時に学食を利用しないケースもあるようだ。

「学食で1人で食べていることで、友達がいないと周囲に思われることを気にする学生もいる。孤立感を深めて食堂を避け、おにぎりなど簡単なもので済ますより、栄養バランスを考えた学食のメニューで、1人でも食べやすい席があるほうがいい。スピード席という名前があれば『急いでいるから』と、そこに座る理由付けもしやすい」と相談室を担当の大学カウンセラーは話す。

■ほかの大学でも…

こういった「ぼっち席」は、京都大(京都市左京区)や神戸大(神戸市灘区)にも広がる。京都大は24年から設置、神戸大は25年から六甲台キャンパスの3カ所の食堂で1割前後のテーブルの上に仕切りを設けた。

神戸大の場合は、空席を作らないのが設置の主な目的。同大生協の加藤真理子専務補佐は「6人席に2人2組が対面に座り四隅を使うと、間の2席が使われにくい。1人でも2人でも3人でも食べやすい工夫として採用した」と話す。

一部の教員からは「食事は、わいわい話しながらするもので、仕切りをつけるのは好ましくない」という意見があったが、学生からは「6人テーブルは、これまでは1人では使いにくかったが、良くなった」などとおおむね好評という。

東工大(目黒区)でも、「ぼっち席がうちにもあればいいな」などといった学生のネット上の「つぶやき」を受け、昨秋から380席のうち24席(6人用4テーブル)に特注のついたてを置き、試験運用中だ。

平野伸彦専務理事は「視線を合わせず、1人で静かに食べたいという傾向は以前からあり、時代の流れ。他大学より相席で座る学生は多いほうだが、それでも相席よりは、仕切りのある席のほうが好まれ、仕切りのある席から埋まっていくようだ。今後は、できるだけ学生のニーズにあった席づくりを考えたい」と話している。」


……と、長々と引用しちゃいましたけれど!

まあ、あと十年したら時代が変って「二十人テーブル席『お座敷』大人気!」とか「晴れた日はキャンパスで『具材持ち寄りB・B・Q!』」とかあり得るので、心配せんでもヨイ!

わたしゃ、晴れた日には学食からお盆持ち出して芝生で食べていた、ホントのどかな田園大学出身~♪
しかもプラスチック食器をそのまま「アクリル絵の具の絵皿」とかに流用する学生が後を絶たないんで、年にいっぺん『学食のおばちゃん軍団アトリエ棟お皿回収』があったという、バンカラ大学。
絵の具成分に怖じずお皿再利用していた『学食』も度胸。

ちなみに構内にレンガ作りの「かまど」があって、大雨の日以外は「かまど委員会」が大釜でご飯炊いてみそ汁振舞っていた、不思議な大学。
一度消防署の指導で「かまど撤去」されたが、「かまど再建カンパ」があって、あっというまに、はい、また、かまど。
毎日学生の誰かが、薪でご飯を焚いていた不思議な学校。

学校は、どっかしら「ミラクルワールド」であるほうがヨイのです。


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う~~~~~~んっ!2015年01月16日 02:21

出産で言うなら
「もう頭が見えてます!」
状態なんだろうな。

大・便・秘・ッ!

このところ風邪で全然体動かさないで座っていたからなー。

夜が明けたら医者一番にとって、なんとかしてもらおう。

ううう…

おなかが、というより、もう桃尻痛い…

「連鎖結晶」2015年01月16日 03:04

大便秘でおなかをかかえてうんうんうめきながら、気付いた。
所詮は「今」という瞬間の連続なのだ。
うめこうが酔っ払おうが、元気だろうが死にかけていようが、
「今」
という瞬間の連続によって人生は繋がって行く。

「時」は「今」という名の「連鎖結晶」である。どこかで誰かの心を照らせるように輝きたいものだ。

(人間「便秘をすると「哲学するものだ」ということは、すでにオーギュスト・ロダンが「考える人」で実証している)


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カラオケを歌う人々2015年01月16日 21:01

よく「嫌われるカラオケ」で、「マイウェイ」を5分以ひたりきって歌う管理職、というのがあるが、エリートの友人は、若い頃、職場で集団大ストレス仕事をやりとげたあと、みんなで泣きながら「大事マンブラザーズバンド」の「それが大事」を大合唱したと言っていた。
「♪負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じぬく事♪って歌ってたらねー、みんなポロポロ泣いちゃって、私たち集団発狂したのかしら~!?」とエリート嬢はおびえていたのだが、いいじゃん、それだけみんなストレス貯めまくってたってことなんだから発散できてエエジャナイカ!
私的には「あみん」の「待つわ」をほっそり歌いぬき、拍手にニッコリ笑って
「うふ、どうも~♪」
と言える女の子の方が恐いぞ。
あの歌まともに解釈して歌えるのって、相当「腹黒さん」。


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「連鎖結晶とその崩壊」2015年01月16日 21:08

さて、昨夜私はひどい便秘に泣いていたわけだが
…なんと!
本日午後、痛みが治まったのを見計らって「それっ」と医者へ、薬をもらい、家に帰る途中…
「あれ?」
…お出ましの予感が…
家に帰ったら、一週間分(十日分、かな?)いっきにドンッとご出産〜!
で、もらってきた薬を飲むヒマもなし!
なんなんだ、この
「薬をもらっただけで、飲まずに効いちゃう」
というリーズナブルな体質は!
昔、手には入れたが惜しくって飲まず、小さなビニール袋に入れてみんなに
「これがなぁ…」
と見せて回っていた「バイアグラ・親父」たちのよう。
顔見ただけで効く医者は、うむ、小さな町医者の若先生、あなたは名医だ!
「お大事に♪」
の声がさわやか~♪


…と、いうわけで、みなさまお騒がせいたしました。
身も心もスッキリです。
昨日夜中にトイレで痛くてひんひん泣いていたのがウソのよう。
吹き出物も明日には消えるでしょう。
人間って「しょせん下水管に目鼻」(by山下洋輔)。


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いまごろ「紅白」観て考える2015年01月17日 00:24

…で、便秘が治ってゆとりが出たので、いきなり昨年の紅白を観直していたのだが。
あら、みゆき姉、「歌詞とちる」どころか「早変わり」なんて大技(彼女にとっては「大技」だ)してたのね。
美輪明宏さんはもう「唄う『妖精のお爺さん』になっちゃって」て、こりゃ手出し無用だな、あ、AKBこんなに後で唄ってたの?え、福山くん2曲?と…
改めていろいろ「ほうほう、ふむふむ」だったのだが、不思議なのはなぜ「アナと雪の女王」が2度歌われているのか。
あれは、妹はノンケだが、お姉さんは妹ラブラブの超能力レズビアンだと思うぞ…と。
雪村の男衆も日本語訳では「みんな」だが英語では「My Family」で、どう考えてもゲイの村だしなぁ…大晦日過ぎて、改めて、煩悩。

今年ティファニーはエンゲージリングの広告を「ゲイカップル」にするし、日本では突然「百合ブーム」でユリイカまで「百合特集」組んじゃうし、美輪さんはとっくに市民権得ているし、「アナ雪」はヒットするし、ここ数年で性に関する状況は外見上ずいぶん変った。
外見上はね。
いざとなると出てくる。
恩師・若桑みどり先生について日記を書いたのが1/13、で友人より「千野香織」さんの名があがり、びっくり!
美術史にジェンダー、フェミニズムを取り入れた第一人者である。
景気が、政情が悪くなるとあがってくるのが
「性差別・性的少数者嫌悪(ヘイト)」
で、私は両性愛者だが、結婚に至った異性愛者の夫はものすごく懐の深い人だと、今でも思う。

などと、「紅白」観直しながら考えていたのだが、音楽業界にセクシャルマイノリティーが多いのは確か。
昔の私の恋人(女性)もプロ・ミュージシャンだったし。
そういえば「ジャニーズ問題」はどうなったんだろう?(今さらですが・笑)
今、紅白のマイノリティー、率はどれくらいかしら。

で、若桑みどり「お姫様とジェンダー(アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門)」(ちくま新書)は、読みやすくて、おもしろい。
名作ディズニー映画がスッパスッパ斬られまくり。
書店でも(680円+税)図書館でもお気軽に。


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「白銀のカナリヤ」最後の弟子2015年01月18日 02:28

昨日が「便秘騒動」でものすごく変則睡眠だったせいか、今日は「眠り病」のようにひたすら眠り続けてしまった…
そういえば明治42年生まれの師・岡本彌寿子先生(1男9女の女系家族)は、「玉子姉さんは『眠り病』で死んだの…」と言っていたが、今で言えば「脳炎の一種」かなにかだろうか。

岡本先生はお母さんが二人で「9女、やっと1男」というスーパー女系家族である。
一度「ウスバカゲロウのように透き通って美しい妹がある日突然きたけれど、スゥッと死んじゃった。
本当はお妾さんの子だったの。」と言っていた。
大正、戸籍いかげん。

「本当に絵の才能があったのは龍子姉さんよ。
ずっと美人だったし。
でも「味の素」(当時の世界ウルトラヒット企業)の研究員に見そめられて結婚、嬉しかったわ。
まさか、あんなに突然死んでしまうなんて…
私が絵を描いてい生きているのは、龍子姉さんのお導き。
龍子姉さんが画家を目座しいていたら、私なんてかなわなかったわ。

しかし岡本先生は日本画世界で「白銀のカナリヤ」と呼ばれるほどの美人だったのである。
再興日本美術院同人(幹部クラス)、日本女流画家協会理事、大きな勲章もらい、神奈川名誉県民、お歳暮お中元ザックザク、でも常になかったのは「現金」。

「売り絵」(生活のために画商に売る絵)を描かなかったからである。
昔の作品のリトグラフ化企画にも「色が落ちるので」と首を縦に振らなかった。
年収は、実質四百万だった。(代理で税務署行ったから知っている。)
その中で、高価な絵の具買って、美容室行って、和服を仕立てて、服は全部馴染みの洗濯屋さん。

盆暮れに、米、味噌、しょう油を贈ってくれた弟子には「ありがたう」とすらすらと流れるような文字でお礼状を書き、「かに缶」だと「飽きるのよ…」と電話で済ませていた。
「高級石鹸(soap)」は「高級スープ(soup)の素」と思い、鍋で煮て台所を泡の海にしていた、ウルトラ天然おばあちゃん。

お世話は大変だったけれど、憎めず、大好きだった。
私は他のお弟子とはうんと年の離れた最後の弟子だけれど、上の弟子達に報告する気にもならず、古径先生門派の研究会に名乗り出る気もない。
日本画家になる気もなく(万が一夫が先に逝ったら1部屋空くので趣味で描くか)「貧乏だけれど自由な『白銀のカナリヤ』」の後継者だ。


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