大きな獣の荘厳な死2011年05月30日 09:31

女子校5年生(高2)の修学旅行は九州一周だった。
9~10日かけてゆっくり周り、観光客立ち入り禁止の長崎の教会でも、女性三部のコーラスで聖歌を歌ってミサを上げてもらうという口実に中に入れてもらったりした。
移動のバスの中では毎日私たちは奉納歌の練習で歌ってばかりいた。

今でも覚えている。九州の都井岬に泊まったときのことだ。
何故か空き時間が出来て、朝、私たちは散歩した。
都井岬と言えば野生馬「岬馬(美崎馬ともいう)」の生息地である。ついたその日もバスの窓越しにたっぷり馬を見た。
翌朝、何かの都合で空き時間が出来て、私たちは岬を散歩した。(といってもそこいらへん程度)
崖のカーブの下で、老馬が落ちて死んでいた。
私は大きな獣の死というものを初めて見た。それは荘厳で、でもどこか儚かった。

私は馬が好きだ。
幼い頃、近くの成城大学の馬場が近くにあったので、体の弱かった私を、母はよく
「のんちゃん、お馬さん見に行こう。」
と散歩に連れ出してくれた。
私が生まれて初めて描いたまともな絵は、お姫様でもお花でもなく「馬」である。

その都井岬の野生馬に「馬伝染性貧血」のウィルスが見つかり、12頭が殺処分されたという。(5/29朝日新聞)
岬馬の現在生息数およそ百十頭。ウィルスの感染力は弱いが、治療法がまだ分かっていない。
日本馬は数が少なく、一番少ない対馬馬は25頭、北海道和種馬(道産子)の数は分からないが、それを除くと7種、650頭足らずである。

野生の鹿が森で死んで、その死骸が喰われ、腐り、骨となり、消えてゆく様の写真を、定点観測した写真集は何というタイトルだったろう。

コメント

_ やぎ2号 ― 2011年05月30日 16:57

それは宮崎 学「死」ではないかしらん。ちょっと前の写真集ですが。

_ スギウラさん・矢嶋 ― 2011年05月31日 11:03

おー、調べたらそうであった。
見つけた見つけた!
ありがとう!
ただちとお値段が高いね。
今月お小遣いもう使っちゃったのよ、三波春夫先生のCDで(笑)。
来月(明日じゃん!)買うわ。

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