「土大根(つちおおね)」父の宿題2014年01月10日 23:36

父は博識だった。
「大根が好きで朝な夕なと食べている侍の戦の時に、ふたり見味方が来る『何者じゃ』と
訊ねると『日ごとお世話になりにし土大根にて候』と言って勝つと消えてしまう」これが長いこと謎だったが、インターネットの世界というのは便利なものだ。

【徒然草 第六十八段

 筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなる者のありけるが、土大根を万にいみじき薬とて、朝ごとに二つづつ焼きて食ひける事、年久しくなりぬ。
 或時、館の内に人もなかりける隙をはかりて、敵襲ひ来りて、囲み攻めけるに、館の内に兵二人出で来て、命を惜しまず戦ひて、皆追い返してげり。いと不思議に覚えて、「日比ここにものし給ふとも見ぬ人々の、かく戦ひし給ふは、いかなる人ぞ」と問ひければ、「年来頼みて、朝な朝な召しつる土大根らに候う」と言ひて、失せにけり。
 深く信を致しぬれば、かかる徳もありけるにこそ。】

と「土大根」で引いたらポンと出てきた。たぶん父の時代の参考書ではそう訳されていたのだろう。
大根といっても冬の七草の「すずしろ」サイズだったと思うのだが、これで図書館に行って誤字、誤訳がなければハイ解決。(最後は書籍文献による。)
父の残した謎が、やっとひとつ解けた。
「論語」の最初は7歳の時に毎晩教わって、「陶淵明・帰去来」は大人になって自力でなんとか読んだけれども、連歌(れんが)・武玉川(むたまがわ)・漢詩、父の残した宿題は山のようにあるんだな、これが。
ふうぅ~~~

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