乳児の記憶2015年03月11日 22:39

私はまだ乳児だった。
薄黄緑色をミルクに解かしたような色の乳母車に、母に圧されて乗っていた。
母の日傘はあすきアイス色をもっと白く染めたような色で、あちこちに、刺繍で明けた花柄の穴が空いていた。
穴ごしに、杉やけやきの葉が見えた。
お日さまとその葉々野色越しに、私が観ていた世界は、不思議なことに「鳥獣戯画」なのである。
あるいは当時出た「岩波写真文庫」を見せてくれたのかもしれない。
生まれて初めての記憶は、ここから始まる。
幸せなことだ。
胎児の時にも母の呼びかけ、励ます声を聞いている。
本当に、幸せなことだ。

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