今だから「百鬼夜行図」2020年04月13日 01:14

コロナ・コロナと鳴り止まない世だから
「京都・便利堂」の
「百鬼夜行図絵はがき8枚組」
(重要文化財・室町時代・大徳寺・蔵)
を取り寄せて、友人達に
「お元気ですか~?」している。

「棺の妖怪」なんて、コロナそのものだぜ。
(室町の人、予知夢でも見たんだろうか…)

コミケが中止になって、でもパンフ取り寄せた御仁に
「まんレポ4作、傑作でした」
なんて、したためているんである。
気の利いた文をいいタイミングでちょいと出すのは
「源氏」じゃないけど古典的日本文化よ。

星野源さんが「この際『著作権料』なんていりませんから」
と発表した「うちで踊ろう」は楽しい。

しかし安部よ
「日本で今一番くつろいでるどころじゃない人」が
なんで星野源さんの画像に合わせて
「豪邸で高級犬とふれあい、高級輸入食器でティーブレイク」してるんだ?

あんた、今、日本で一番クルクル働き続けなくちゃいけない立場でしょーが!

夕方の記者会見、4月7日でさえ、質問がまだあるのに
「この後のスケジュールの都合で…」
って退室、新聞の「首相動向」みると、あなた
「ご自宅にお帰り遊ばしてる」
じゃないの!
「ぼくちゃん、お坊ちゃまだから夜はおうち帰るの」
ってか?おいっ!(もはや半笑)

天然痘撲滅まで2000年かかった人類だが、
「科学の力で1年で薬を作り上げる」
という。すごいことである。

しかし、
「ウソをつくことがボクら『エライ政治屋さん』のお仕事」
とタカをくくっている安部や麻生には、つける薬がない。

昔の人は言いました。

「馬鹿は死んでも治らない」

と…

朝のテレビ小説「スカーレット」の面白さ2020年03月28日 22:50

NHKの朝ドラマ「スカーレット」が昨日3月28日をもって最終回を迎えた。
「全部見た」どころか、今処方されている薬の副作用で昼夜逆転の生活、「寝過ごして残念」という日の連続だったが、夜のダイジェスト枠などで流れは捉えていた。

このドラマは地味だけれど、確実に面白かった。

地方の、戦後の大貧乏生活で中卒就職からスタート(子供時代は「お約束」なのでもちろんあるが)陶芸家としての人生を切り開く主人公。
最初は地元就職に失敗して、大阪の下宿屋に女中奉公である。これが高橋留美子さんの名作「めぞん一刻」みたいな個性派揃いのステージで(あとでその人脈が全部活かされる)、その中で「ふとしたことから」「美」に目覚める。
ワンマンな父の一存で、いきなり故郷に呼び戻され、地元の「火鉢工場」で働き始め、ひょんなことからセクション変えに成功し、火鉢の「図案」部門の一員となる。
元日本画家の、イッセー尾形演じるボスに手ほどきを受け、モダンな女性スタイルの火鉢発売にまで漕ぎ着ける。

「研究員」としてやってきた美大卒の男性と、最初は「お仕事、見学させて下さい」の関係から、「陶芸とは何か」を学びつつ、恋をする。(この相手役俳優が、面立ちは地味だが、ものすごく上手い)

ああ、しかし「火鉢」は斜陽産業、ボスは去り、恋人は失業、しかし「この土地で陶芸をやって生きたい」という彼と結婚。
家は戦後流れ着いた夫婦と幼い娘3人のためにセッティングされた「茅ぶき屋根の古い木造家屋」である。
最初の台所は「かまど」で、富田靖子さん演じる「お母さん」がセッセ、セッセと火をおこし、煮炊きをする。それが、お父さんが死ぬあたりからガスボンベが導入され、それでも台所は「土間」で、やがて板の間に改装され、蛍光灯が入り、鋳物のガスコンロから火口の確保されたガステーブルになり…お母さんはずっと和服だったのが、地域の「ママさんコーラスの会」にお誘いを受け、週に一度「洋服を着て外出し、練習の後には喫茶店でママさんたちと甘い物&飲み物でひとときを楽しむ、『女の、主婦の・ゆとりとカルチャー』を体験する人生」にまで辿り着き、死ぬ。
(在宅闘病意地っ張りお父さんといい、ひっそり支え続けて生きて、満足して死ぬ母さんといい、骨髄の病で若死にするひとり息子といい、脚本家は「人生の『終わりどころ』のツボ」を外さない)

夫は、戦後日本の陶芸作家は「電気窯が当たり前」のアトリエで、研究と努力の結果大きな賞を受賞し、陶芸作家としての人生に活路を見いだす。お金はないが息子を授かり、家族全員で愛して育てる。
しかし「地元陶芸の、窯の原型(ここで主人公が子供の時手に入れた窯の内壁のカケラ「スカーレット」が活きるのである)、「原点回帰」を目指し、古式窯を作る。薪を焚き、何日も夫婦不眠不休で火を守り続けても、研究で知識として得た「目標温度」に至らず、失敗が続く。

そのとき、薪を放り込み続ける「運動連鎖」ではなく、薪そのものの「断ち割り方」、つまり「かまどの前で煮炊きしていたお母さんを手伝ったヒロイン」の経験則が解決策となり、目標温度に至る。
しかし、そこで夫は自分の「陶芸家としての限界」を知ってしまい、陶芸作家から「各地を渡り歩く研究家」に戻ってしまう。
「君も焼いてみなよ」
の一言で「自分の創作」に目覚めてしまったヒロインが、窯を守り、子育てし(なんと「足ガール」の「若様」、NHKの秘蔵っ子・伊藤健太郎さんが、この気持ちの良い若者を演じている)、母を看取り、妹たちの人生にエールを送り、地域社会に生き、「前進」していく。

この、まったくゼロ、どころか大きな架のあるマイナススタートのヒロインを演じた戸田恵梨香さんが素晴らしい。このドラマ枠では異色の年齢だが、「陶芸家としての大きな、そして繊細な『手』の持ち主」で、「中学校時代を演じるヒロイン」からのスタートとなったため「とにかく5キロ太りました」と笑う「気っぷの良さ」、そして『困難な女の人生に積極的に待機できる懐の深さ』の持ち主である。

両親の背中を見て育った息子は、陶芸を目指し、猛勉強して大学に受かり、学び、青春を謳歌し、恋をして、でも難しい病気で、最終回で分かるのだが26という若さで逝ってしまう。しかし、彼の『作品』は残るのである。アトリエの一角に、繊細な、優しい「青の陶芸」を志した彼の作品が、生き続ける。

芸術とは「作品が生き続けることによって人生を永遠のものとする才能を獲得した人種の、格闘と達成のドラマ」である。だから芸術家は「人生そのもの(ゴッホやダヴィンチのように)も伝説として語り継がれる」のだ。

そしてこの「スカーレット」は生活風俗の考証が、ビックリするほど正確だった。いつ、このデザインの生活家電が入ってきたか、お父さんが買っちゃった「衝動買いの一斗缶」が、手を変え品変え、この家屋でいつまで生き続けるか、基本的にお金のない生活の中で、ヒロインは「ツギのあたったマフラー」をいつまで首にまとわせるのか、かやぶき屋根の「家」はいつ「茅の上からトタンぶき」になるのか、ものすごく正確に記録し続けているのだ。
この時間枠のドラマには「昭和37年の東京」で、飲食店の前に復員兵が並んでいる、という「時代考証メチャクチャ」な手抜き作品もあったのだが…


伝説の「おはなはん」は、お転婆さんからいきなり「将校の妻」になったヒロインの素直な心の揺れを、幸せに向けて描ききった。

「マー姉ちゃん」は女系家族の次女、日本初の女性漫画家長谷川町子さんを田中裕子さんが演じ、それをサポートする母と戦争未亡人の姉を、藤田弓子さんと熊谷真実さんが絶妙の呼吸で「ホームバラエティー」としてドラマに仕立てた。

「おしん」は底意地の悪い橋田壽賀子さんの「女の一代記」である。海外では、そして国内でも「少女編」が繰り返し放映、スペシャルDVD化されている。演技派・乙羽信子さんは、よくこんな毎日ヒロインの心境のコロコロ変わるドラマ展開に「文句をつけなかったものだ」と思う。ほんと、苦節の人生から一転して「成功談の押し売り」である。

「ゲゲゲの女房」は、神様の妻、天才漫画家(戦争で片腕のない障がい者だが、世界観が素晴らしく、他の追随が出来ぬ水木しげるさんの、大貧乏からスタートする人生ドラマで、「漫画家の独特な、風変わりな世界」をキチンと表現仕切ってくれた。

視聴率を稼いだ「半分青い」は、少女漫画というとても個性的な世界に生きているうちはよかったのだが、漫画家をやめてからのシングルマザーとしての生き方の描写に無理があった。

やはり「はね駒」の斉藤由貴さんや「はっさい先生」の若村麻由美さんは新鮮で、感性も良く、上手かった。

「スカーレット」の最終回、最後のシーンで、ヒロインは人生を振り返らない。
涙を誘わない。しみじみしないで、窯に薪をくべている、その
「スカーレット・レッドに『炎』に照らし出されるヒロインのアップショット」で終わる。
地味であるが、芸術作品としての完成度は深い。
そう、「スカーレット」は「炎に導かれるヒロインの人生」を、的確に描ききったのだ。

これは「美事な成功作」である。

田口輝彦さんの個展に行ってきました2016年04月29日 17:58

連休初日、案内のお葉書をいただいた造形作家・田口輝彦さんの個展に行ってきました。
場所は、都心にまだこんな古風な建物が遺っていたの?という、神楽坂「AYUMI GALLERY」木立と六角形の張り出し窓がおしゃれです。
(地下鉄東西線・「神楽坂駅」矢来出口と神楽坂出口の間・神楽坂だから一本道)

今回は中世ヨーロッパをモチーフに、ラッパ吹き、太鼓、ハープ、一輪車などが、あたたかい木彫り彩色の猫やウサギで構成されています。

4/29~5/4(金)まで。
神楽坂のそぞろ歩きに、ふと足を止めて暖かいひとときを・・・オススメです。

田口輝彦さんのブログ「造形作家な日々」はこちら
http://hibizoukei.jimdo.com/

心斎橋大丸2016年01月17日 21:25

心斎橋大丸が最後の見学会。
広々とした店内はまるでダンスホール。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/16/daimaru-shinsaibashi_n_9001572.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001

メッシュ2015年06月06日 20:10

萩尾望都の「メッシュ」(単行本8冊)を一気読み。
さすがに目が疲れた…けど全話名作♪
「訪問者」もそうだけれど、百数頁の上製本で出していた頃のが一番好き。
ついで「パーフェクトセレクション版」かな、上下2冊で本重いけれど。
ついで「作品集第Ⅱ期本」。
文庫本は小さくて老眼にはツライ。

鳥獣戯画展in上野2015年05月25日 00:01

上野国立博物館「鳥獣戯画展」
日曜、160分並んで、眺められたの3分だったという。
(しかも立ち止まり禁止)
あぁ~…

若桑みどり先生2015年01月13日 18:38

「聖母像の到来」(青土社)が出たので買ったら、あいかわらず分厚く、若桑先生、お元気ですね(笑)。
大学時代の恩師のひとりである。今年もう80におなりですか、紫綬褒章ももらっている、中世西洋画とジェンダー研究の第一人者である。
私の「カラヴァッジオ好き」(ヘンな兄ちゃんだけど!)は、彼女から来ている。
在学中に
「ちょっとシスティナ礼拝堂の『ふんどし』はずしに行ってくるわ!」
と行ってイタリアに渡ったのだけれど、これが数年にわたる大修復。で、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた総壁画「天地創造」、これ、時のローマ法王の逆鱗に触れ、
「オールヌードでイカガワシくてイカン!」
というので、彼の死後、弟子のダニエレ・ダ・ヴォルテッラが、全員にうす水色の「ふんどし」を描いた(よって彼は後生「世界一のふんどし画家」という不名誉な名前で呼ばれたのだが)、それを、
「修復と一緒にはずそうじゃないの。」
ということになり、現在バチカン行くとスッポンポン姿が見られます。
長年のロウソクや香の煤もきれいにしちゃったんで、実物観たときは、なんだかやたらツルツルピカピカしていたな。
日本の寺みたいに、古い物は古くていいと思うのよ。
若桑先生はイキのいい人で、ある朝目を覚ましたら窓の外を通る山手線が「アルミボディー」になっていたので
「あれは美的ではありません!」
とJRに抗議の電話をかけた、という武勇伝が残っている。
基本的に「機械=シルバー」というのが嫌いで、インデストリアル・デザインで「なんでみんな銀色にせにゃならんのか!」というようなことを熱く語っておられた。
「女性画家列伝」(岩波新書・絶版だけどたぶん図書館にあります)なぞ、読みやすくて面白くて、お勧めです。


このエッセイは「UFO文學14年度冬季号」に掲載しますので、引用・盗作を固く禁じます。
発覚した場合は提訴します。

日本画家っておもしろい2015年01月12日 21:37

NHKBプレミアム「東海道五十三次合作絵巻 井浦新がたどる画家4人 箱根・修善寺・京都へ百年前のバンカラ道中」を観た。
いやー、おもしろかった。
横山大観は若い頃から(若いったって三十代なのだが、日本画の世界は四十でヒヨッコ、八十・九十でも現役がウヨウヨいるのである)ぞんべろりんなのだが、端正な美青年、下村観山には頭が上がらず、今村紫紅は、やっぱり天才肌で、小杉放庵はひとり飄々としている。
漫画の世界でいうなら「もしもトキワ荘グループが旅日記をつけたら」といったカンジだ。
若いって、すごいなあ。才能あるって、いいなあ。
百年前のお兄さん(三十代でもおにいさんである)はバンカラで、才気溢れて、酒飲みで、陽気で、真摯なんであった。

揃いのマント着て、山高帽かぶっているっていうのがね、カッコよかった。

しまった、録画しとけばヨカッタ…

「山」2014年03月12日 00:43

山の絵を描いている先輩の水彩画家さんから画集が届く。
すごく嬉しい。のでご紹介。

「心に映る山」中村好至惠(「恵」ではなく旧漢字の「惠」)

白山書房・1800円。Amazonだと1880円

コード ISBN978-4- 89475-172-9 C 0071
¥1800E+税

美術館のマミィズ・デイ2014年02月14日 01:30

雪が降る前に東京都立美術館の「世紀の日本画・再興日本美術院の1世紀」を観に行ってきた。同じ考えなのだろう、年配のお客で賑わっていた。
わ~、安田靫彦先生の「飛鳥の春の額田王」と「風神雷神」を一緒に見れちゃって、夢のようだわ。養母亡き後「安田靫彦展」といったら水戸で1回あっただけで、「額田の…」は割と見るのだが「風神雷神」は久しぶり。いいなあ、上半身裸の少年「風神雷神」には勢いがあって、興福寺の八部衆のような美しさである。
 しかし、こーゆーの、週に1回くらいお子様お預かりで主婦や夫婦に心ゆくまで観てもらえる制度ってナイのかな。逆に親子連れでのびのび観られるのも。
私の記憶がうんと昔の木造の都美館なのは養母とそのパートナーが日本画家だったからだけれど、美しい空間や静謐な雰囲気はしっかり残っていて、それはそれでよかったと思う。
派手で賑やかな遊園地だけが子供の心のゆりかごになるのではない。
インタビューで、今の中高生が「いらない」と感じる授業のトップが50%「美術」、次点が「音楽」だと知ったときは悲しかった。
無くても確かに生きていける、でも大切な精神の軸である。
時空の安全を確保して子供をゆだね、あるいは子供と一緒に心のおやつを食べること。
お母さんにだっておやつは必要なのだ。