「うさぎの道中(みちゆき)」2011年02月27日 05:55

母がのれんを作った。実家の窓に吊してある。

元は私とドッコイの結婚式引き出物に染めた手ぬぐいである。
下絵は自分で描いた。明治時代の手ぬぐいの復刻版だ。
青が月、中のうさぎは、ふだんは月で餅をついているのだが、雨降りで地上から見えないのをいいことに、仕事を休んでデートしている、といった趣向。

コレの下絵を持っていったら、私は手ぬぐい職人のおじいさんにスカウトされた、というオマケがついている。
「仕事したけりゃいつでも来な。」
3百本ばかり刷って、15年の間に残りはわずかになってしまった。

引き出物を手ぬぐいにしたのは、単純にお金がなかったからである。一本3百円くらいで済んだ。

一番傑作なのは、我が母の親族達である。
諏訪で披露宴をやって、その帰り、当時JR諏訪駅にあった温泉に(今は足湯になってしまったが、昔は駅の構内に堂々とした温泉があった)手ぬぐい使って入っちゃったのだ。
こんなに「すぐ役に立つ引き出物」もめずらしいんじゃないか?(笑)

残り少なの手ぬぐいで、のれんを作ってくれた母に感謝している。
実家に行くたびにこれを見て、
「ああ、私は本当にドッコイに惚れて、結婚したくて、ここまでやったんだなあ。」
と思う。


カタギ時代2011年02月27日 16:27

断っておくが私は「正社員試験」に合格したのだ。
試験は99点だった、「磊落」をついうっかり「さざれいし」と振らなければ。(「豪放」くらい前にヒントでつけておいてくれよな・笑)
BookOffと違う、「古本屋」ではなく「古書店」だった。(格式が違う)
それがデパートのワンフロアに「古書店兼古本屋」を出すというので、2月の末に張り紙がしてあって飛込んだ。
「ちょうど引っ越し中だから、最初は様子見でアルバイトで入って。」
と言われた。
うなずくしかなかった。何しろ就活なんてどこへやら、その冬、母は失明しかかって大手術を受けるわ、兄貴は父を嫌って家出するわ、父はワガママが炸裂するわのなかで、貯まりに貯まった単位の獲得と100号サイズの卒業制作があったのだから。
(まだ遅組は4年生の秋に就職活動をする時代だった。に、しても私遅すぎ。)

「すぐ正社員にするから、保険も年金もすぐに整えるから」
と小太りの社長は言った。
大ウソである。早い話ダマされちゃったんだな~。
店は経営不振で、お給料が出たのが翌月の給料日の2日前、なんてこともあった。
当然2日後のお給料も1ヶ月近く先である。
卒業式にも出ないで3月1日から働き始めて1年8ヶ月。アルバイトのまま、実質給料が賃下げされると知って、怒髪天をつき、(最近ではこれ、「キレた」って言うんですかね)即日やめた.
退職品(「金ではナイ)は婦人物ソックス2足だった。

むすめさんよく聞けよ、私のはまったワナにははまるなよ。
暗いぞ狭いぞおまけに臭いぞ。
就活は真剣におやんなさい、後がコワイぞ。
それでもあなたがその型にはまりきらなければ、とっととおやめなさい。
生き方は「勤め人」ひとつではないのだからして。

ただし「自由業」の「自由」とは、「のたれ死にする自由 」だと言うことも 覚えといてちょ。