そろそろ大活躍の季節!2010年06月06日 14:35

私の扇子は大好きな「鳥獣戯画・甲巻」のなかの「猿追いもの」の図柄を紙に抜き切りして、絽を裏に貼った男物である。
これをいつも持ち歩くようにしているが、鞄が変わった日などにうっかり入れ忘れてしまい難儀をする。

なにしろ更年期障害さまは、とっても気まぐれなのだ。
ふだん日本手拭いを愛用している私だが、「まだ涼しいのに手拭い絞りたくなるくらい大汗」なんて日があったりして、そんなとき、伯母の縫ってくれた扇子袋一本を鞄に入れてこなかったうかつさを後悔する。
もういつでも「顔面がほてりだしたら即、扇子の出番」である。

しかし、扇子って本当に便利な道具だなぁ。
暑さに応じてしゃなりしゃなりでもバタバタでも風量調節出来るし、使わないときはびっくりするほどコンパクトにたためるし。
いろんな意匠をこらした柄が楽しめる。
人力なのでエネルギー削減にも地球温暖化にもよろしい。
(腕力強化にもカロリー燃焼にもよろしい・笑)

団扇は、しなりがよく軽い「奈良団扇」を20年以上前に清水の舞台から飛び降りる覚悟で買った。今の金額に換算するとかなりのもの、しかし「一目ぼれ」してしまったので財布の底をはたいた。
当時職人さんはもうただひとりで、かなりなおじいさんだった。
やはり紙に模様を抜き切りして、間に透けるほど薄い和紙を挟んだ,意匠をこらしたもので、なくさないよう、傷めないよう、大切に使っている。

このあいだテレビで「竜馬伝」を見ていたら座敷のシーンでチョロッと出ていて、
「あー、さすがNHKの小道具さん、もの持ちいいなぁ〜。」
と、ヘンなところで感心してしまった私である。(笑)


「日常のものこそ良いものを」と教えてくれたのは55才年の離れた養母だった。
気難しい日本画家だったが、感性は上等の人だったと、今は思う。