こんな日の読書2012年08月29日 12:04

どんづまりの鬱。
こんな日はカレン・アームストロングの「狭き門を通って」(柏書房)を読みたくなる。
たかもり ゆか訳「第33回日本翻訳文学賞」受賞。

お引っ越し日記その七2012年05月06日 16:46

天気予報はみごとに当たって「午後から雷雨、所によっては雹(ひょう)」というとんでもない空模様の中、なんとか芳子さんのウチのイソーロー生活は終わりました。
長かったなー、3週間もいたんだ~。
普通、こんな変則的な引っ越しはしませんよね、いくらなんでも(笑)。
元がゴチャゴチャな上に引っ越しする当人たちが「ものぐさ」、たまたま悪い引っ越しチームに当たってしまい荷物の置き場所が分らない大混乱の迷宮、そのうえ「実家が近かった」という、アンラッキーとラッキーの「冒険のような引っ越し」でした。
さて、というわけで11月に契約して住むのに足かけ7ヶ月、ドッコイ氏の物騒な海外出張を挟んで(元いた家の家賃カラ払いが無念じゃわい)我が家の不動産関係はカタがついたのでした。
どうしよう、このダンボール箱の山、ほとんどが本!
明治時代の「帝国婦女用文例(お手紙の書き方)」なんかもありますのよ。
ちょっとした古書店が出来そうじゃわい(笑)。

「みんな死んじゃった」という本2011年12月22日 06:50

清川虹子さんは女優で(映画「楢山節考」で有名)2002年になくなったのだが、最後の聞き書き「みんな死んじゃった」(1999)はなにげなく甘損で買ったら、ヒットであった。
サブタイトルは「私の愛した喜劇の夫たち」であるが、芸能界全般に渡り、関わった縁故者のことをとりあげていて、判淳三郎がいかに好色だったか、とか、ポール牧はテレビの指パッチンの芸だけではなく才能ある喜劇人だったとか、とか、藤田まことは登場したときから光っていたとか、来年50歳で子供の頃テレビをほとんど見ていない私でも、
「あ~、この人、分る分る!」という細やかな筆の運びで、聞き書きの人の腕がものすごく良い。
特に「サザエさん」で脇をつとめた江利チエミのことに詳しく(清川さんはフネさんの役)芸能界への登場からその死まで詳しく書いてある。
ビートたけし氏が「寝ゲロを吐いて死んじゃった」といったのがいいところで、ミュージカル「江利チエミ物語」では「風邪薬と睡眠薬をあわせ飲んで死んだ」などと美しいことになっているのだが、バッサリ一切り
『ブランデーの牛乳割りを呑んでいて、つまみのお寿司が咽に詰まって死んだ』
と真相を語っている。
「ブランデーの牛乳割りなんて呑み方を教えたのは私で、そんなこと教えなきゃ良かった。」とも。
高倉健さんとの結婚と離婚についても、チエミさんの姉による詐欺事件についても詳しく書いてあり、「江利チエミ&判淳ファン」にとってはたまらない1冊である。
それと、まだ合法であった頃の、芸能界の「ヒロポン中毒」についても、実に詳しいので、そちら方面に興味のおありの方にもお勧めの1冊である。

実は離読症のエッセイ好き2011年10月13日 05:09

ものすごく困ったことなのだが、私は離読症のケがある。

中学の時発症して、小学生の頃は毎月3冊買ってもらっていた「岩波少年文庫」が、「岩波新書」にスライドしちゃったのである。
漫画は読めたし(中学1年で友人と「横山光輝・水滸伝全巻」と「萩尾望都・ポーの一族&トーマの心臓全巻」を取り替えっこしたのが漫画家になるきっかけだった)森有正さんの経験論哲学はどっぷりはまって読んだのだが、小説だけなぜかパッタリ読めなくなった。

代わりに「失われた動力文明」とか「アラビアの医術」とか「ウンコによる健康診断法・カラーガイド付き」とか「あなたもできる喫茶店経営」とか(高校生で!・笑)、岩波から光文社まで、手当たり次第新書を読み、それに世界地理・美学書・画集・写真集・物理学書・ルポルタージュ・ドキュメンタリー・哲学書・宗教書、と、小説以外はなんでも手にとった。

大学に行って、古本屋で見かけた辻邦生さんの「回廊にて」を何気なく手にとって、また小説が読めるようになったのであるが、以来、読める時期と読めない時期がはっきり別れている.

今は読めない時期で、ケストナーの「5月35日」を手にとっても、気分が悪くなり、本棚に戻してしまう。何も頭に入ってこない。代わりにエッセイ、「向田邦子との二十年」(久世光彦)をゆっくり、読んでいる。

新聞もそうで、今はほとんど目を通せない、が、気合いを入れると最低必要限はなんとか目が拾える感じ。
いっしょに取っている「AERA」もざっと目を通すだけ。
そのくせ本屋に「ハインリヒ・ベル短編集」を注文したりしている。

本の山は積もる一方で、もう普通の人の一生分以上あるのではないか。

その荒れた読書歴の中で、エッセイ、これだけは途切れなく読んできた。

ちょうど中学2年の時に木村治美さんの「黄昏のロンドンから」が出て、今や大学名誉教授の木村さんだが当時は2児の母、専業主婦の視点でロンドンという都市での生活、イギリスの文化、歴史などが柔らかい言葉で書かれたもので、画期的だった。
夢中になって読んだ。

カタブツの英文学者などの反発はすごく「たかが一主婦の分際で」と「これぞ正統派ロンドン!」と言う本が次々と出たが、どれもやたらもったいぶっているだけで新鮮な視線というものが微塵もなく、つまらなかった。
その時、確か青木雨彦さんだと思うが
「主婦がエッセイを書いてベストセラーになったからといって驚いてはいけない。千年前には蕎麦屋の娘の日記がベストセラーになっているのであるからして。(更級日記のことよ・笑)」
と、上手く揶揄して、論争に終止符を打っている。

どこかの「子供相談室」で
「さくらももこさんのような有名なエッセイストになるにはどうしたらいいですか?(私はさくらさんのエッセイは初期の2冊しか読んでいないので、今有名かどうかは知らないのだが)」
の答えが
「まず別のジャンルで有名になることです。」
だったのには、笑えた。

私の「主成分」は、田辺聖子さん、永六輔さん、なだいなださん、森有正さん、島村洋子さん、向田邦子さん、青木玉さんなどなどのエッセイで出来ている。
いずれも「高手」であり「巧手」な方々なのが、ラッキーだった。

足元にも及ばないのだが、一ブロガーとしては良い巡り合わせだと思う。

体調が悪い日の読書2011年06月29日 01:44

昨日、今日と体調が悪い。
で、節電どこへやら、エアコン効かせた部屋で布団に寝っ転がって、内田善美の初連載作品「空の色に似ている」(’81)、手塚治虫の「マンガの描き方(’77)東海林さだおの「ショージ君の青春記」(’80)と、3冊立て続けに読んだわけだが。
「空の色…」はほぼ記憶の通り、「マンガの…」も記憶通り、(77年から萩尾元先生を認めていたのね、手塚先生♪)「ショージ君の…」だけが記憶が大きくずれていた。
地下と一階がスーパー、二階が銭湯で三階から上が結婚式場という変な建物も、お米を1キロ買いしての妄想、小間肉を5百グラム投入したカレー、全部中盤のエピソードと思っていたのが、最終章だった。
何よりも「将来設定として『若尾文子と結婚する』とノートに綴ったのが彼ではなくて、ではいったい誰だ?井上ひさしか?と記憶が混乱してしまった。
まったく、一番記憶力のあった時期に読んだ本からしてこれである。
最近読んだ関川夏央の「女流」も今川英子「林芙美子・巴里の恋」も、若い頃百円で昭和22年版の東峰社「巴里日記」を読んでいたからなぞれたので、これから読む太田治子の「石の花・林芙美子の真実」も、「若さの貯金」があるから読めるのだ。
しかし、林芙美子はここ数年リバイバルだなあ。森まゆみさんがみすず書房で初版の「放浪記」を復活させてから、じわりと火がついたカンジ。

体調の悪い日は昔読んだ本を読むに限る。新しいのは頭が受け付けないからね。
ps. 林芙美子の映画は「放浪記」より「浮雲」のほうがおもしろいです。どちらも高峰秀子なんだけど。

本は心の窓2011年05月19日 05:21

「密林」で作曲家・宮川泰(ひろし)さんの「若いってすばらしい」というエッセイを1円で購入したのだが、これがヒットであった。
「明るくてやさしくて覚えやすくて爽やかで」とご本人も書いてあるとおり、宮川さんの曲は明るいものが多い。
「クレージーキャッツ」に「ゲバゲバ90分」。作曲は700曲、編曲は1万曲だという。
世代によっては「宇宙戦艦ヤマトの人」と言った方が通りがいいかもしれない。
宮川さんは音楽もだが、文章も分かりやすくて明るくて、ジャーン♪としているのだ。
しかも読んで気がついたのだが、私の好きな「岩谷時子作詞のザ・ピーナツ」をたくさん手がけている。
「ふりむかないで」「恋のバカンス」「恋のフーガ」そしてなんと「ウナ・セラ・ディ東京」。
私は「ウナ・セラ・ディ…」は、「愛の賛歌」を和訳した岩谷さんのこと、アチラモンだとばかり思っていた。
最初「東京たそがれ」で出して全然ヒットしなくて、タイトルを変えたら大ヒット、という伝説もあるし、「ウナ・セラ・ディ」なんて食ったことないモンを頭に持ってこられたりして、「洋モノ」だと信じちゃっていたのである。
それが「曲先」(曲が先に出来てあとから歌詞をつける。昔は「詞先」が主流だった)で、しかもスタジオに入ってからアレンジの都合で6小節間が空いちゃった、というとんでもないハプニング。
そこで岩谷さんが、慌てず騒がず(ホント、上品な作詞家さんだなあ)その場で作ったフレーズが、あの
「街はいつでも 後ろ姿の 幸せばかり」………
ここ、この曲の根幹をなすモノなんですけどっ!!
私、ザ・ピーナツの(「モスラの歌」聴きたさに10枚組買いました、CD。)歌ってるの聴いてここで必ず泣くんですよ~。
それがこんなアクシデントで生まれちゃうなんて。
宮川さんもすごけりゃ岩谷さんもすごい、ザ・ピーナツもすごい、「東京たそがれ」でこけてもあきらめなかったレコード会社もすごい。
「がんばろう日本」のキャッチフレーズは「あきらめません日本」にしてもいいくらい、日本人ってあきらめない。
「気落ちしている時期に、いい本とめぐりあっちゃったなー。」
というのが正直な感想です。
本は心の窓、風を入れなきゃね。

二十四の瞳2011年04月23日 14:55

BSで高峰秀子の特集をやっていたので見たら、やっぱり出て来た。
1954年キネマ旬報賞1位(「7人の侍」が3位)、日本人の大好きな映画で、小豆島には銅像もある。(原作では島の名は出てこないのだが、ここでロケをやった)
すっきり心洗われる映画で、おとなも子供も楽しめ、たしかに傑作である。
でも私は原作の方が好き。
エピソードが多く、後半の自転車のくだりなんかもっと細かく大人の事情が絡んでいるし、全体に流れるテーマも、もっと濃厚に感じられるからだ。
もっとも、子供には映画の方が分かりやすいだろうが。
大人になったら原作読んで下さい、ときどき考察の深さにギョッとさせられます。
光文社60周年記念復刻版がよくて、帯に坪田譲治が「壷井栄さんは日本の女流児童文学者で初めて、実際に子育てしながら執筆した人。」とあって、驚いてしまう。
文学では岡本かの子も与謝野晶子もいたが、女性児童文学というのはそんなに困難な場だったのかと思う。
まこと、「二十四の瞳」というのは大人になってからがおもしろい作品である。
おすすめです。

カタギ時代2011年02月27日 16:27

断っておくが私は「正社員試験」に合格したのだ。
試験は99点だった、「磊落」をついうっかり「さざれいし」と振らなければ。(「豪放」くらい前にヒントでつけておいてくれよな・笑)
BookOffと違う、「古本屋」ではなく「古書店」だった。(格式が違う)
それがデパートのワンフロアに「古書店兼古本屋」を出すというので、2月の末に張り紙がしてあって飛込んだ。
「ちょうど引っ越し中だから、最初は様子見でアルバイトで入って。」
と言われた。
うなずくしかなかった。何しろ就活なんてどこへやら、その冬、母は失明しかかって大手術を受けるわ、兄貴は父を嫌って家出するわ、父はワガママが炸裂するわのなかで、貯まりに貯まった単位の獲得と100号サイズの卒業制作があったのだから。
(まだ遅組は4年生の秋に就職活動をする時代だった。に、しても私遅すぎ。)

「すぐ正社員にするから、保険も年金もすぐに整えるから」
と小太りの社長は言った。
大ウソである。早い話ダマされちゃったんだな~。
店は経営不振で、お給料が出たのが翌月の給料日の2日前、なんてこともあった。
当然2日後のお給料も1ヶ月近く先である。
卒業式にも出ないで3月1日から働き始めて1年8ヶ月。アルバイトのまま、実質給料が賃下げされると知って、怒髪天をつき、(最近ではこれ、「キレた」って言うんですかね)即日やめた.
退職品(「金ではナイ)は婦人物ソックス2足だった。

むすめさんよく聞けよ、私のはまったワナにははまるなよ。
暗いぞ狭いぞおまけに臭いぞ。
就活は真剣におやんなさい、後がコワイぞ。
それでもあなたがその型にはまりきらなければ、とっととおやめなさい。
生き方は「勤め人」ひとつではないのだからして。

ただし「自由業」の「自由」とは、「のたれ死にする自由 」だと言うことも 覚えといてちょ。

「スーパー乙女大戦」!2011年01月06日 11:50

やったー!
森奈津子さんの「スーパー乙女大戦」読み終わったー!
今回は林芙美子の研究書3冊と同時進行だったので1ヶ月もかかっちゃったよ。
お約束の「レズビアン・お笑い・SF」で、快作でした。
あいかわらず文章上手いなあ、どんなオバカな設定でもスイスイ押し切られてしまう。
興味をお持ちの方は短編集「西城秀樹のおかげです」(ハヤカワ文庫)を入門編にどうぞ。こちらも傑作です。