白い切符2022年06月15日 04:31

ローマで地下鉄に乗ったのは、もう前世紀末のことだ。
不況も不況、もう国家破産するんじゃないかってくらいの不況のどん底で、イタリアは溢れる難民と失業者の群れでどうしようもなくなっていた。
道を歩くと難民の子供スリ集団がウロウロしていて、観光客の日本人、気が抜けない。
買い物しても、当時の貨幣リラ、小銭のコインが不足していて,細かいお釣りの端数はキャンデー1つ2つで渡される始末である。

地下鉄に乗った。
券売機で切符を買って唖然とした。
駅名も料金も記載されていない、ただの白い紙っぺらである。
だがそれでみんな平然として改札を通っていく。
日本の切符をご存じの方ならお分かりでしょう。
まず地紙に偽造防止の薄い印刷がある。そこに印字がある。それが交通切符。
しかし,なんにも無いんである。
ただの白い紙っぺら。
それで通ってちゃったんである、当時のイタリアって国は。

しかし。
ホテルに戻ってキヨスクで買ってきた「TVガイド」片手にテレビを見た。
新藤兼人監督・乙羽信子主演の映画「鬼婆」なんかやってる。
日本のアニメ「シルバニアファミリー」なんかもある。
で、ふとコメディー番組に目がとまった。
言葉はまるで分からない。
けれど、ものすごくおもしろい。
何と言っていいのか,間合いが絶妙で目が離せなくなっちゃうんである。
これがイタリアという国のセンスかと思った。
ああ、この国は大丈夫だ。たとえ今どん底だろうと。
案の定,今イタリアは大丈夫である。しっかり立ち直った。

日本は今とんでもない危機にある。
ものすごい額の国家赤字を抱えて,これで世界大恐慌とか大地震とか、来ちゃったらどうするの?与党の皆様よ、日銀よ。

でもまあ、駅の切符が白い紙で出ようが、立ち直れるときは大丈夫。
なんとなれば駅の自動改札は無条件で人を通すセキュリティー機能がある。
これは「駅の自動改札システム」を発明して特許取ったエンジニアの娘だから、自信を持って言っちゃう。
白い切符が発券されても,胸を張って改札を通りなさい。
互いにウソをつかない、信頼し合う、というルールの下に、日本人はあるのだ。
「日本でわざと財布を落とすと50回が50回とも返ってくる」
という実証実験をしたアメリカの学者さんがいたが。
守るべきモンを守ってりゃ、社会秩序は保たれるんである。

ただね。
無収入なのに「去年からコロナでこれだけ損益がありました」って申告して、「だから給付金下さい」って申告しちゃった人。
それはウソだから止めなさい、もらっちゃたら返しなさい。
みんなが納めた税金の、ウソつきドロボーだから。

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