映画「キャロル」2016年02月18日 16:26

「キャロル」を観た。
数日前に母が観て、
「何が何だかよくわからない映画」
と言っていたが、そうでしょう、近年の同性婚、LGBT認知運動のうねりや、1950年代のアメリカの同性愛差別、男女差別が分からなければ、この映画、ただ
「キレイな女優さんふたりが出てくるお話」
で終わってしまう。

ケイト・ブランシェット演じるキャロルは美しいお金持ちの奥様。
しかし離婚が決まっていて、幼い娘の親権をめぐり夫と争っている。
ルーニー・マーラ演じるテレーズはカメラマン志望のデパートの売り子。
一見接点がない二人が、ふとしたことで知り合って、あれよあれよと好き合ってしまう。
ついには車で冬のふたり旅。
ここいらへんの展開みごとである。
小道具も気が利いている。
お金持ちの奥様からライカのカメラとコダックのフィルムの入ったスーツケースをプレゼントされたら、そりゃカメラマン志望、舞い上がって旅のひとつもしようじゃないの。
ライカもコダックも、若い衆には昔のありがたさが分からなくなって久しいけれど。
「ライカ一台で家が建つ」と言われ、「アメリカでは景気のいい年はコダックのフィルムが売れるので黄色のインクが不足する」(コダックのパッケージは黒と山吹色)と言われたもんだ。

きっかけはテレ-ズの
「なんてキレイな女(ひと)かしら」
という視線だった。
以降、この映画は、交わす視線が物語を形作ってゆく。
ルーニー・マーラこれでカンヌ主演女優賞をとっただけあって、目の芝居が上手い。
キャロルといっとき心離れするシーンがあるのだが、ここいらへん、目でモノを言っている。この目の芝居はこわい。
この瞳で見られちゃな、キャロルもあきらめるな。
(安心してください、その後ちゃんと劇的ないい展開が待ってます)

来日したケイト・ブランシェットが「視線」について、
「ルーニー・マーラとは事前の打ち合わせはしなかった」
とインタビューに答えているのだが、上手いふたりだからぴったりかみ合ったんだろうなあ。

いや、良く出来た映画だった。