男唄・女唄2012年07月11日 01:00

コレは絶対男性の発想だな、という歌が女唄にはよくある。
都はるみの「北の宿から」の♪着てはもらえぬセータ-を、寒さこらえて編んでます♪なんて、男性の「かくあらまほしき女性像」である。
寒いんだったら、編み物上手なら、寒さなんてこらえてないで、まず自分のセーターをパパッと数日で編み上げて着てから、「あなたのセーター」を編むだろう。女性は冷え性が多いのだからして。
女は「オレ」のことを思い続けて、いつまでも熱い心で待っていて、再会したら都合良くホイホイと迎え入れるなんて、男性の好きなハードボイルドの発想である。
一方イルカの「なごり雪」は(すいませんね古い歌ばかりで)伊勢正三作詞なのだが、女性ウケする「ぼく」が主人公の女唄。
男だか女だかわからんカーペンターパンツの、少年のようなイルカ(当時、ね。しかしこの人は年とらなくてある意味怖い)が歌ったからあそこまでヒットしたのだと思う。
「ぼく」は運命を受け入れ、どこまでも優しく、なごり雪の降る日に東京を去る恋人を駅のプラットホームまで見送りに来てくれるんである。
別れにあっても「春が来て君は、きれいになった」と言ってくれるのである。
いつ再び巡り会っても、瞬間解凍のように「恋をしている自分」同士の関係に戻れるのであろう。
わたしが分らんのが、作詞家としての中島みゆきである。
この人は注文に応じて間口が広い。
前川清の「涙-Made in tears-」では「男運は悪くなかった、あんないい人いやしないもの」と歌いあげ、「春なのに」では卒業してしていく男の先輩に寄せる淡い女の子の恋心を描き。
しかしどちらもおかまさんが歌うとそーゆー意味深な唄に瞬時に早変わり!
「夜を往け」の「君の昔を」では一人称「私」二人称「君」、三人称・君の昔の恋人「女」という、主人公は「年上の女性だか、タチのレズビアンだか、バイセクシャルの男性か女性だか、ゲイの人だか」、もういかようにもとれる謎の作詞をするのである。
私がかつてであったレズビアンの人は
「中島みゆきはゼッタイ!レズビアンよ!」
と力説していて、私も「う~ん、この『人称に応じる曖昧さ』はバイセクシャルの発想かもしれんなあ…」
と思ったのだが、この人の唄は「新宿○丁目」のお兄様お姉様の間でものすごくウケがいいという。
さもありなん。

コメント

_ とんまるき ― 2012年07月13日 00:52

いつも興味深い記事ですが、これまた殊更面白い内容です。
実は北の宿からの気持ちでセーターを編んだことがあるのです。
でもよーく考えてみると、何回も聴いた歌に私がなんとなくそんな気分させられていたんですね。

なごり雪。全くそうですね。ホームで罵りあいをしている人の方に親近感を持ってしまう私はいけないタイプでしょうか?案外ノーマル?

そして最後の部分 一瞬 かつてレズビアンであった と読んでしまって、頭の中でお姉様ソングが万歳万歳と鳴り響きましたがしっかり拝読し間違いに気がつきました。

実はゲイの友人はいるのですが レズビアンの友人はいないので、一瞬やった!!!と喜んだことも正直に書いて申告します。

_ 抜刀質店 ― 2012年07月15日 18:29

人生の先輩(女性)から
>男性にとっての「あらまほしき女性像」に、歌を聴きながら、歌いながら自らを染めたいと思ってしまう女性も多いのでしょうね。
というご意見を頂きました。う~む、自分で書いといて言うのもいまさらですが、奥が深い(かもしれない)。

>ホームで罵りあい…耳がダンボになっちゃいますよね(笑)。
「硬派で好色」(笑)な私ですが、人生のツレアイにはドッコイ氏を選びました。
(ご期待にそえなくてスミマセン)

ゲイの知り合いは学生時代いっぱいおったのですが…なんてぇガッコでしょう・ウフフ…
とりあえず女子校時代の「お姉さま」のそのまた「お姉さま」とは今でも仲良しです。(笑)

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