2011年10月16日 14:12

いつの間にか腕にできものが出来て、気がつかずにひっかいてしまったら血が出た。
ちょっと出が良かったので急いで口で吸ったのであるが、自分の血の味というのは不思議なモノである。
鉄(かな)臭くてしょっぱい。新鮮である。生き物の匂いがする。
「これによって私は生かされているんだな。」
という実感が湧いてくる。

子供の頃はちょっとしたケガが日常茶飯事で、すりむいた腕や指をしゃぶっていたのだが、
「口の中の雑菌が入って良くない。」
と教わってからは、ティッシュか布を押しつける圧迫止血にかわった。
今回の血は、雑菌が伝染するような大きさではなく、というより、自分の怪我の血を見るのが久しぶりで、まったく無意識に口で吸ってしまった。

吸ってすぐにキーを叩き始め、もう乾いている。大事にはなるまい。

自分の血、これは不思議なもので、「命の源」という気がする。
吸ったところでそれは消化されて、再び「自分の血」になるという保証は全くないのだが、何%かは血に戻る気がする。

映画「デンデラ」で猟の得意な山本陽子が主人公・浅丘ルリ子に
「クマの血だ。飲め。精がつくぞ。」
と勧めるシーンがあって、現世からデンデラにやってきたばかりの浅丘ルリ子は躊躇するのだが、考えてみたらアフリカ・マサイの人々は家畜を少しづつ傷つけて採った血を飲んで栄養源としているのである。
日本にも「スッポンの血」(私は飲んだことがない、というかスッポンそのものを食べたことも、出会ったこともないのだが)というものがあり、血は滴(したた)らねど「レバ刺し」が大好物で、「血」というのはやはり心身を沸き立たせるものがあるのだろう。

テレビのチャンバラ劇が大好きで、若い頃は高橋英樹さん主演の「桃太郎侍」を母と観ていた。
(考えてみたら、暗い江戸の闇の中とはいえ、派手な装束に能の般若の面、桃太郎はどこで着替えていたのだろう?)
これは「血のでない」殺陣で、次第にチャンバラシーンが増えていき、最終回、野川由美子さん扮する「燕太夫」が命を落とし、桃太郎の怒りが最高潮に達したとき、四十八人斬った。
母とふたり「ひとーり、ふたーり、三人、四人…」と数えていたので(ヒマな母娘だ・笑)、間違いないと思う。

今は時代劇といってもNHKの大河ドラマとBS時代劇「塚原卜伝(ぼくでん)」くらいになってしまったが、血は最小限に抑えられている。
特に「卜伝」は、剣豪ドラマなのに「これだけ派手に斬り合って、血しぶきが飛ばないのはウソでしょう!」というくらい血が出ない。
ま、血しぶきは、ボツになると衣装からなにから全取っ替えになるので、出ない方がよろしいのであろう。

時々、血を吸いすぎて満腹で動けない蚊をパチンとやると、「ティッシュ、ティッシュ!」と大騒ぎになる。
自分の血といい、テレビの血といい、あんまりドバ-ッと出ない方がよろしい。