向日葵・タラントマリ2011年05月12日 21:05

大正時代の「北原白秋児童詩集」(祖母の遺品)で読んだ児童詩である。
といっても、挿絵だけ覚えていて内容は忘れてしまったのだが。
当時私は6才。引っ越しを機に幼稚園を中退してしまったので、一人遊びの時間はいくらでもあった。
当時白秋は北海道のウタリ(当時のアイヌ)の詩をいくつか書いていて、挿絵から察するに「向日葵・タラントマリ」も向日葵の咲くどこか地名だったようだ。
内容は忘れてしまっても、この時期白秋や島崎藤村の「ひらがな童話集」、「日本童話宝玉集」(厚さが十センチくらいある)を読めたのは、私にとって貴重な体験だった。
中でもアルス社から出ていた赤い背表紙の白秋の詩集は、特に気に入っていた。
「タラントマリ」は中央に高く大きく向日葵の花々が咲き誇って、左右に小さくウタリの人たちが民族衣装を着て、笑顔で見上げている挿絵だった。

その向日葵が、いやヒマワリが、今注目を浴びている。
福島第一原発の放射能漏れ事故、その放出された汚染土壌の放射性セシウムを一夏の開花で約95%吸収する力がある、というのだ。
種子をヘリで空中散布する計画がもちあがっているという。
ただし分解するのではなく「吸着する」ので、その後の大量の枯れ草の処分は問題として残るのだが。
ヒマワリの種子の蒔き時は今である。1ヶ月も逃すと大きく成長しない。事は急を要する。
果たしてこの計画は実行されるのか。
実行されたとして実際にはどれくらいの成果が上がるのか。
原発に最初ヘリでもたもた放水していた映像が思い出される。が、賭けてみないと結果は出ない。
やるならやるで、日本中のヒマワリの種子をかき集めるくらいの覚悟で、臨むべきだろう。
タラントマリに、今年は向日葵が咲かなくても。

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