義父は99・9%、24時間以内に死ぬ2010年11月09日 00:18

義父が倒れた、もうあぶないという連絡が入ったのは8時である。
ドッコイはカンボジアなので、大急ぎで母と諏訪に向かった。3時間の片道が遠い。
病院に着くとICUのベッドに義父はいた。
胸の動脈が破れ、手術はしたが輸血がどんどん出血してしまうという。

もともと高山病のように、圧縮した空気をいつも鼻からチューブで入れていた。
風邪は絶対に引けず、伝染してはまずいので帰省できない正月があった。

腎機能が止まり、肝機能が止まり、流れ出る血液と共にどんどん義父が死んでゆく。
親戚の男性は(私の知らない人)
「医師はもう99・9%助からないと宣言しました。」
としたり顔でいう。
お義母さんは無言で、ふたまわりも小さい。

それでもまくら元で
「お父さん、信子です」
と言うと、右まぶたがかすかに動いた。
「ドッコイさんは明日帰ってきますよ」
というと、上唇がぴくりぴくりと2度動いた。

ドッコイはカンボジアの田舎から3時間かけて首都プノンペンへ出て、直行便がないのでいったん西へ、タイの首都バンコクで東京行きの飛行機を待っているだろう。
日本の成田に着くのは夜が明けてから、町田にはさらに飛ばして2時間、そこから諏訪まで車で3時間。
ドッコイは間に合うのか、もうそろそろ飛行機に搭乗したのだろうか。

間に合ってほしい。