「グンゼ」2009年12月29日 00:51

去年あたりから、若いお嬢さんたちに「ばばシャツ」が売れているらしい。
殿方には耳慣れない言葉だろうが、女性用の、綿百%七分袖の薄手の肌着である。
いっときは「おばちゃん・おばあちゃんの肌着」として年寄りイメージが強かったのだが(だから「ばばシャツ」なのである)これ、冬の着心地サイコーなのよ。

若い娘さんは「少しでも細く見られたい願望」が強いので、カラーを変えて、かわいいお星さまなんてプリントしちゃったら、あら不思議。
「おしゃれで・安くて・着心地いい」の3点セットでいきなり女子校生御用達〜!である。エコにも良いしな。

私は小さいころ化繊でじんましんが出たので、「グンゼ」のカボチャパンツと「グンゼ」の子供シャツを着ていた。両親兄弟、我が家「はグンゼ御用達」であった。
後に私は「無印」に移り、結婚したドッコイは「BVD」である。

しかし、1907年生まれの養母を介護し始めて、私はものすごくたくさん「グンゼ」を買うことになった。養母は「大」をちびっちゃうんである。で、認知症で隠して忘れるんである。そこいらへんに隠して突っ込んでおくのである。家が狭くて同居ではなかったので、「こんにちは〜」と玄関ガラリとした瞬間、匂っている。養母はこたつの指定席と寝室以外めったに行かないので、家中嗅いで回り、たたんだ肌着の山の中とかベッドの下から探り出す、警察犬か、わたしゃ!

んでもって家に持って帰って、かちびったところをこそげ取り、漂白して(乾燥しちゃった汚れは落ちない)洗濯していたのだが、しまいにあまりの臭さが目に沁みて、泣いてあきらめた。

私は駅前商店街で月に5枚グンゼのパンツを買うことにしたのである。
養母だって毎日はき替えてる気配もないし、大人用紙パンツなんて、富士山より高いプライドが邪魔して、絶対はかないし。
なら、あなたの財布とあなたの汚れだ、買い換えて差し上げましょう、ということで、トータルで2〜300枚は買ったね。

で、本日、実母・芳子さんと街で買い物をしたのであるが。
「私、無印で7分シャツ買うの。」
「グンゼ3割引の店しってるわよ。」
「教えて!!」
で、人さまに見せるもんじゃなし、オシャレでストイックでお高い「無印」から、ださくても、着心地良くて、しっかり長持ちしてくれて安い「グンゼ」に戻ったのである。

・・・・ああ、47才。肌着の迷い時よ。素材の綿がいいので、あったかいもん。

ちなみにグンゼ(郡是)の操業は1896年で、養母の生まれる11年前である。
当時としては画期的な企業であったと思う。
養母1907年生まれ、当時としてはやっぱり画期的な女性であったと思う。