役所探検、旅の心得2012年09月17日 14:26

以前書いたことかもしれないが、もう一度、これから役所へ行く友人のために書いておく。

私の友人の母が倒れ、「ほぼ脳死状態余命1ヶ月」の宣告を受けたのは、もう15年くらい前のことになるか。
母ひとり娘ひとりの暮らしで、貧乏で、手元に10万円くらいしかなかった。
親戚というものもなく、友人たちで彼女を支えるしかなかった。私たちはまだ30代前半だった。

役所方面が私の担当となり、横浜の区役所を訪ねた。
当時東京には(今は石原バカが取りやめにしたかもしれんが)「都民葬」というのがあり、極貧の世帯には簡単な葬儀台貸し出しと、現金10万円が支給された。
また、私の住んでいる市にも同じような制度があった。
で3時過ぎに区役所へ行って総合受付で50代くらいの総合受け付けのおばさんに
「あの、都民葬…」
と言いかけたら、いきなりおばさん立ちあがって、頭の上で腕ばってんのゼスチャー。口もきかずそれである。
怒る心をぐむっと押さえて
「どうしたらいいでしょうか」
と訊ねたら、こんだ「市長への意見箱」を指さしやがった。こっちは今、死と向いあってんだよ!
しかし、ここで非礼なおばさんをぶん殴ると警察沙汰になってしまうので、広い区役所、「社会」とか「福祉」とか看板がぶら下がっているところ全部総あたりした。
最後の最後に、ひとりのおじさんが、やっと人間語をしゃべった。
「ここにはないけれど、歩いて5分くらいの分庁舎に応対できる窓口があります。いまもう4時50分だから、こちらから電話をかけておくから急いで行ってください。」
ほれみろあったじゃないか、あんなトンマを総合受け付けに置くなよな!
と怒りつつ分所に小走りで行ったら、50もつれの優しそうな女性の職員さんが、
「お話は伺っております。大丈夫、無利子で26万円まで融資出来る制度があるのでご安心下さい。今はとにかくお母様を看病して差し上げて下さい。」
ほれみろー、ここにも人間語をしゃべられる職員がいるじゃないかー。
で、2時間の区役所探検は終わり、友人に連絡できたのであった。

お役所というのは、分りにくいモンである。口を利こうともしないゼスチャーおばさんがいたり、タライ回しにされてしまうことも多い。
でも、どこかにちゃんと「人間語」を解する職員もいるので、これからお役所に行く人は、とりあえず水分のペットボトルを忘れずに(何度も同じ話をするとのどが渇くので)探検の旅へレッツゴー!